表参道を歩こう!
- 2018.05.15 Tuesday
- 11:30
男山の山上にある石清水八幡宮の御本殿へお詣りに行く際、
ケーブルカーやお車で行かれる方がほとんどかと思います。
当店の前には、「石清水八幡宮」と書かれた石碑が建っていて、
不思議そうにお客様が、
「あれ、石清水八幡宮って山上ですよね?ここになんで石清水八幡宮って書いてあるのですか?」と
尋ねられます。はたまた
「ここの石清水八幡宮と上の石清水八幡宮ってどうゆう関係なのですか?」と…
おぅ…まるで平成の徒然草…と嘆き悲しみつつ、
「先達あらまほしきこと」しっかり広報できていないこちらにも責任があるのだと、
参道の魅力をお伝えしていこうかと思います。
一の鳥居
当店から見える、この大きな石造りの鳥居が、参拝の際一番目に身を清める鳥居、
一の鳥居です。
つまりここが石清水八幡宮の入り口、ここからは神域となります。
扁額には、八幡宮のお遣い、鳩が向かい合う形で「八」幡宮と書かれています。
少し進むと頓宮。
ここは、勅祭石清水祭では御旅所となる、重要な場所です。
頓宮赤門を抜けると右手に高良神社が。
ここは、八幡の氏神様で徒然草第52段にも書かれました。
山上にお参りせず、ここだけで帰ってしまったとのことですから、
今よりもずっと荘厳な社殿だったのでしょう。
創建は石清水八幡宮と同じく貞観2年(860)ですが、
現在の建物は、鳥羽伏見の戦いで焼失後に大正4年に建てられたものです。
参道を進むとななめに生える松が見えます。
これは源頼朝お手植えの松、と言いたいところなのですが、
昭和22年に落雷で焼けてしまい、2代目です。
右手には裏参道。
少し険しいですが、15分ほどで山上まで上がれます。
今回はそちらからは行かず、
参道を素直に進み、二の鳥居をくぐる表参道を歩きます。
御本殿までに一の鳥居から三の鳥居まで、3つの鳥居をくぐることになりますが、
狛犬がいるのはここ、二の鳥居だけです。
一の鳥居、二の鳥居は山麓、三の鳥居は山上です。
しばらくすると右側に小さな滝が見えます。
ここにかかる小さな石橋は神幸橋。
江戸時代までは石清水祭の前後の数日間だけ、
神様がお通りになられるために、木製の橋がかけられていました。
なので、この名前があります。
さていよいよ階段の始まりです。
山上までは396段。
初めのころに続く石段は「七曲り」という名前がついていますが
実際は四曲りしかありません。
ジグザグといつまでも続く、という意味からと、また数字の語呂でつけられたのだと思います。
七曲りの階段を上りきると少し開けてなだらかになり、分かれ道になります。
その左手に朱塗りのお社が見えてきます。
大扉稲荷です。
昔、この辺りに狐が住んでいて、芝刈りに来る人にいたずらをするので、
祠を建てて、悪さを鎮めたという伝説が伝わっています。
その後、文政時代に石清水八幡宮によって改築されました。
ここのお稲荷さんは、宝くじを買ったらお参りするとよい、と言われています。
この場所で山上まで半分ぐらいでしょうか。
あとは一度も分かれ道もなく、幅の大きななだらかな階段やゆるやかな坂道が続きますので、わりとゆっくりと歩けます。
左側が山の斜面、右側にはたくさんの石垣が見えます。
この古い石垣は橘本坊。足利の祈願所だったところです。
神仏習合の信仰だった男山にはこのような坊跡がたくさん見られます。
こちらは豊蔵坊。
徳川の祈願所で、孝明天皇の攘夷祈願も行われた場所です。
男山四十八坊といわれるほど、江戸時代まではたくさんの坊が立ち並んだ男山ですが、
なかでもこの豊蔵坊は随一の石高だったそうです。
ここまでくるとあと数段で表参道上り切り。
上りきったところに三の鳥居があります。
あとは直進で御本殿です。ここまでが表参道と言える参道です。
おまけ。
三の鳥居をくぐってすぐ左手にある石組は一見廃材置き場のようですが、
実は、昭和の作庭家、重森三玲氏の手がけた庭です。
昭和三十六年に八幡を襲った第二室戸台風で、1645年建立だった三の鳥居は(現在のものの先代)
倒壊しました。その石材を用いて作庭されました。
他に重森氏の庭は、石清水八幡宮の書院にもあります。
三の鳥居をくぐりほどなくして、仰々しく囲いがしてあるのは一つ石。
「勝負石」や「お百度石」とも呼ばれています。
古くは競馬の出発点になったり、お百度参りの起点になったそうです。
今日は表参道ルートをご紹介しました。
ゆっくり歩いて20分ほどです。
石清水八幡宮が創建されて1150年余り。
ケーブルカーがついたのは、そのうちのほんの100年ほど。
歩いた方が絶対に面白い。
歴史が山盛眠っています。
次回は、裏参道ルートをご案内します。
コメントありがとうございます。
以前は、看板もほとんどなく、知らないと素通りしてしまう山中だったのですが、最近はわかりやすい看板も設置されましたので、楽しんで歩いていただけるかと思います。
御本殿だけではなく、是非男山全体をお楽しみください。
お帰りの際は、当店での一服もお待ちしております(^^)/
ケーブルカーで2回、表参道←→裏参道で2回
改めて記憶を辿ると意外と多く来ています
丁寧な表参道の紹介ありがとうございます
豊蔵坊、三の鳥居の謂れを知る事が出来ました
次に行った時に新たな気持ちで見るつもりです